この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
会社で東京都条例に違反する違法行為があるとの指摘を受けました。顧客が被害者として申し出ているといわれました。疑われるような行為があったのは事実ですが,私は何も悪いことはしていませんし,私のしたことは違法ではありません。癖で,スマートフォンを下にしてぶらぶらさせただけで,盗撮を疑われましたが,盗撮なんて一切していません。自宅謹慎(自宅待機)処分がされています。また,強い退職勧奨をされています。私は何もしていないのに,解雇されるのでしょうか。
解決への流れ
違法な自宅謹慎(自宅待機)処分に対し,損害賠償請求をしてもらい,認められました。また,全く関係ないと思っていましたが,残業代も一部払ってもらいました。解雇にはなりませんでしたが,激しく対立してしまったので,元の職場に戻りづらくなってしまい,合意退職することにしました。満額以上の退職金と,示談金を支払ってもらったので,後悔はありません。様々な請求で合計約3000万円を払ってもらいました(そのうち退職金が2000万円です)。次の職場が決まり,働き始めています。泣き寝入りして,退職することも考えていましたので,そうしていたらゼロ円(懲戒解雇されていたら退職金もゼロ円)でしたので,想像するだけでも恐ろしいです。
まず,非常に重要なのが,自宅謹慎(自宅待機)処分の違法性です。自宅謹慎(自宅待機)は,就業規則に規定がなければ,原則的に命じることができません。また,就業規則に記載があったとしても,無制限にできるわけではなく,適法に行うには条件が満たされなければならないことも多いです。それにもかかわらず,違法な自宅謹慎(自宅待機)をさせた場合は,取り消しや損害賠償請求の問題が発生しますし,違法な自宅謹慎(自宅待機)処分ですから,その間の通常の賃金請求も可能になってきます。懲戒解雇の場合は,退職金が全く支給されないというのが通常です。この事件では,依頼者の方(労働者)に全く証拠がなく,また,疑われるようなことをした自分が悪いという認識があったために,懲戒解雇を受け入れようかとも考えていました。法律相談にきて,懲戒解雇ができないということを知り,ほっとしておられました。退職金がまったくなくなってしまいますので,そこのところに意識がいかないまま,懲戒解雇やむなしとの認識をもってしまうと,非常に大きな損失が発生する場合があります。懲戒解雇は非常に厳しい処分で,使用者が容易に懲戒解雇することはできませんので,懲戒解雇といわれたら,すぐ弁護士に相談することをお勧めします。