この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
被害者が、フォークリフトに乗って2階部分の荷物の積み下ろし作業を行っていたところ、バランスを崩して転落した労災事故です。労働安全衛生法上、2メートル以上の高所で作業する際には、転落防止措置をとる必要があるにもかかわらずこれをとっていなかったこと、およびフォークリフトは本来被値を乗せて昇降させることは違法であるにもかかわらずこれをさせていたこと等から労災認定されました。被害者は、転落により、右肘および骨盤を骨折し、治療を行ったが、右股関節の可動域制限が残存したため、後遺障害12級と認定されました。
解決への流れ
会社側は当初から代理人弁護士を付け交渉に当たり、150万円しか払わないとして譲りませんでした。交渉の余地がないことは明らかでしたので早期に提訴したところ、裁判所でも同様の主張を続けるため、診断書、カルテ、通院の記録、過去の収入がわかる資料などを裁判所に提出し、一つ一つ損害を立証することでおおむね妥当な損害額が認定されました。本件のもう一つの争点は過失割合でした。裁判所の見解によれば、被害者はアルバイト従業員であったものの、フォークリフトに人が乗ってはならないことは明白であることから被害者側に2割の過失を認定するとのことです。最終的には、依頼者の意向により、裁判所提案の和解に応じることとなりました。
本件の大きな特徴は、会社側が、当初から損害賠償金の支払いを認めようとはしなかったことにあります。労災案件を扱っていますと「労災保険が支払われるから大丈夫」と思っている会社もまだまだあるように思います。会社からそのような対応をされた場合には、是非弁護士に相談することをおすすめします。