犯罪・刑事事件の解決事例
#養育費

事情変更を理由に養育費増額の請求が審判で認められた事例

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眞喜志 康史 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人原後綜合法律事務所立川事務所
所在地東京都 立川市

この事例の依頼主

女性

相談前の状況

私は、数年前、夫と離婚調停で話し合い離婚をしました。その時に弁護士さんは夫も私も依頼していませんでした。離婚調停の和解の際、夫は、月の養育費では足りない子どもたちの特別の支出についても、夫がすべて半分負担するということでしたので、養育費は算定表よりも低額で和解に応じました。離婚後数年間、夫は、養育費のほか、特別の費用負担分についても、私が半額請求を請求すれば、その都度半額支払ってくれていました。しかし、突然、私が特別の費用負担分を請求しても、夫はこれまでの支払った分は過払いであり、これ以上支払わない。これまでの分も返せと主張して支払わなくなりました。また、私も病気になってしまい、これまで通り働くことができず低額の養育費では子どもたちを守ることができません。どうしたらいいでしょうか。

解決への流れ

まず、養育費の増額を求める調停を行いましたが、調停は不調に終わりました。しかし、相談者は、子どもたちの為、審判に移行する旨の希望しましたので、調停に引き続き審判を申し立て、再度、相談者の言い分を証拠とともに整理して主張し、結果として相談者の主張が大筋で取り入れられた内容での養育費の増額が認めらえれ、その増額時は審判時ではなく調停申立時とされ、未払分についても直ちに支払う内容の審判を得ることができました。また、審判後、夫から相談者に審判で決定した未払分が支払われ、さらに増額された金額の養育費が支払われるようになりました。

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眞喜志 康史 弁護士からのコメント

本件では、離婚調停成立後の事情の中に、養育費を増額する「事情に変更が生じたとき」(民法880条)といえる事情の有無が最大の争点になりました。審判においては、離婚調停成立後相談者が病気となり従前のとおり仕事ができず収入が減少したことが推認されるとして事実認定され、以上の事実が、養育費を増額するべき事情の変更に該当すると認定され、養育費の金額について改定標準算定方式を基準に算定され養育費の増額が認められました。また、養育費の増額は、審判時ではなく、養育費増額調停を申し立てた時点から認められ未払分についても直ちに支払うことになりました。さらには、夫が主張した過払い(不当利得返還請求)の主張は、相談者からの請求に対して夫は養育費の負担をする意思で支払ったとして法律上の原因がないとはいえないとして、夫の主張は認めらませんでした。本件は法律上の上記問題のほか、離婚調停成立時に相談者、相手方双方に弁護士が代理人となっていないことから、離婚調停時の話し合いの内容、離婚調停の際に提示した証拠、書面の確認、その後の事情について、相談者から丁寧に話を聞くことが重要な事案でした。子どもたちの生活を守るため必死に頑張っていた相談者の要望にできるだけ添える結果を得られることが出来て、ほっと胸をなでおろした事件でした。