この事例の依頼主
60代 女性
相談前の状況
10年ほど前に兄と遺産分割をしたときに、兄が居住する建物と敷地を私と共有持分2分の1とすることが決まりました。その土地建物はその後も兄が使用していて、最近になって固定資産税の半分を支払うように言われました。私は何も使用していないのに固定資産税の支払いまで求められ、納得いきません。何とかなりませんか。
解決への流れ
遺産分割によって不動産が共有状態になった後に、共有状態を解消する方法としては、共有物分割請求権を行使するという方法があります。民法では、共有状態を解消することは好ましいという基本的な考えがあるので、共有物分割請求権に基づいて訴訟を行って共有状態を解消することとしました。そうしたところ、先方から当方の持分を1000万円で買い取るとの提案があり、その提案金額は妥当でありましたので、1000万円の代償金を受け取って持分を先方に取得してもらいました。
可能な限り、遺産分割をするときに不動産が共有状態にならないように分割をしたいところではありますが、遺産分割時においては不動産が共有状態になることはあります。このような場合には、共有物分割請求権を行使し、必要に応じて訴訟をすることにより、共有状態の解消を求めていくことができます。共有状態を解消する場合としては、今回のように一方が他方の持分を買い取る方法による場合や、不動産自体を分けやすい場合にはその方法を取ることもありますし、一緒に売却をして持分に応じた金銭を取得することや、競売にすることなどもあります。共有状態を残した後に、次の相続が生じると、共有状態が複雑化していきますので、遺産分割によって共有状態が生じたり、遺言によって共有状態が生じた場合には、共有物分割請求による解決をご検討下さい。