この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
依頼者である会社経営者Aさんは,相続人の仲が悪いことを懸念されていました。顧問税理士に依頼し,相続人に公租公課の負担が少ないように幾つか対策をしていたようですが,それでは相続人間の紛争が避けられないと考え相談に来ました。
解決への流れ
まず,本件では相続後紛争が避けられないことを,ご理解いただきました。その上で,今後生じるであろう紛争を0にするのではなく少なくする対策,つまり,火種を完全に消滅させることができませんが,発生しうる火種を可能な限り少なくする方法で提案しました。まず,遺言書基本的な遺産分割方法を取り決めました。その上で,一部の相続人が起こすであろう遺留分請求に応じるため,不要不動産を売却し,売却原資で相続用保険契約を行いました。生命保険金は遺産に含まれませんので,これを利用したのです。実際,相続発生の際,親族から遺留分減殺の話がありましたが,生命保険をもい受けた相続人から先行して,遺留分相当額を支払う旨打診し,結局,法的紛争に至ることなく,相続手続が終わりました。
相続問題は,自身の死後のことですので,問題を他人事とみて,問題を直視しない方が多いです。しかし,今回は,依頼者自身が,自身の死後の相続問題を自分事として捉え,残された親族が可能な限り円満に生活出るように考えていました。最終的に,依頼者の意向の通りに,相続人間で法的手続をとらずに問題が解決できました。