犯罪・刑事事件の解決事例
#後遺障害等級認定 . #慰謝料・損害賠償 . #人身事故

保険会社から治療費の支払いを打ち切られ、被害者本人に対する人身損害の支払いを一切否定されたところから、一時金の支払いを受け、後遺障害を認めさせ、一定の解決を得た事例。

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名取 孝浩 弁護士が解決
所属事務所古淵法律事務所
所在地神奈川県 相模原市南区

この事例の依頼主

50代 男性

相談前の状況

この事例、当職から見ても正直言って、結構相手方保険会社の対応がひどいと思われる事例でした。この件、主治医の先生が事故後3ヶ月半の段階で症状固定とすると言い出したため、まだ痛みもしびれも残っていた相談者の方が不審に思われて、通院を中断した段階での相談でした。話を総合すると、どうも主治医の先生に対し、保険会社から打ち切りの通告があった可能性が高いです。結局、相談者の方は、保険会社から、3ヶ月半分の治療費の支払いと、僅少の物損分の支払いは得られたものの、それ以外の支払いはすべて否定されていました。具体的には、仕事をしていたのに休業損害は否定され、通院交通費も全期間で否定されました。困った相談者の方が相談に来られたという事例です。

解決への流れ

まずセオリー通り自賠責の請求をしようといたしましたが、自賠責保険金の枠は使い切っていたことがわかりました。そこで、当職が以前に他の依頼者の方が通院して適切な対応をいただいた整形外科専門医を紹介し、そこに通院していただくことにいたしました。また、これと並行で、裁判所に対し金銭仮払い仮処分の申立を行い、加害者との間である程度の金額が支払われる形で一部和解をいたしました。その後、通院の結果、後遺障害診断がなされ、自賠責保険に対し保険金請求をいたしましたが、無等級とされました。これは、椎間板ヘルニアはあるが、事故によるものではないとの理由でなされたものでした。ともあれ損害額は確定いたしましたので、訴訟を提起いたしました。その最中に、当職がよく利用している画像鑑定の専門医に意見を求めたところ、当該椎間板ヘルニアは事故によるものであるとの鑑定意見書が得られました。そこで、再度異議申立をしたところ、第14級との後遺障害認定が得られました。これを元に訴訟でも後遺障害を主張、後遺障害があることを前提とした判決が得られ、確定いたしました。確定後、相手方保険会社から判決通りの賠償金が支払われました。

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名取 孝浩 弁護士からのコメント

この方の後遺障害は椎間板ヘルニアでしたが、実は椎間板ヘルニアは事故によっても起こります。もっとも、加齢と区別がつきにくいため、後遺障害として否定する先生も多いのです。しかしながら、きちんと医学的な意見をそろえ、合理的な主張を行えば、一定の後遺障害が認められる可能性はあります。この事例はそういう意味ではうまくいった事例と言えます。その一方で、この事例、正直言いますと痛み分けの部分があります。裁判所は確かに後遺障害は認めたのですが、治療期間はあくまで前記整形外科専門医への転院前の約3ヶ月半で打ち切られました。治療費、通院交通費、入通院慰謝料についても同様でした。後遺障害を認めた以上、後遺障害診断書の記載は信用できるとしたのですから、症状固定の時期も後遺障害診断書の時期とすべきであるはずですが、裁判所は認めませんでした。しばしばあることですが、この件は、ご本人が事故直後に気が動転していて事故状況を正確に記憶されておらず、その点で裁判所の認定が全体的に割り引かれた印象があります。その意味で、ドライブレコーダーの存在や、事故直後の写真の存在、記憶がはっきりしているうちに事故状況をメモしたものなどは、非常に有効です。どうしても人は忘れる動物ですから、事故直後には忘れることはないと思った記憶でも、忘れてしまうことは珍しくないのです。もっとも、全体としてみれば、実質支払いゼロで治療も続けられないところから、後遺障害を認めさせ、相当額の賠償も得られた形ですから、相談者の方の被害回復は相当程度にはかれたものと考えております。もう少し主治医の先生が治療期間を長く見てくれれば、また、事故状況についての客観的な資料があれば、とは思うのですが、ないならない中で戦うのが我々の仕事です。