犯罪・刑事事件の解決事例
#土地の境界線

私道に関する通行トラブル解決

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澤田 直彦 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人直法律事務所
所在地東京都 千代田区

この事例の依頼主

60代 男性

相談前の状況

相談者様(60代男性)は、自宅への唯一のアクセス路である私道の所有者から、通行を禁止すると通告されました。相談者様は、その私道を長年使用してきたものの、明確な通行権の根拠を持っておらず、生活に重大な支障が出る状況でした。私道所有者との交渉は感情的な対立に発展し、話し合いでの解決が難航していました。相談者様は、囲繞地通行権、通行地役権、慣習上の通行権、さらには契約に基づく通行権の可能性について調査し、適切な対応を取るため、当職に相談されました。

解決への流れ

当職は以下の対応を通じてトラブルを解決しました。1. 状況分析と法的根拠の検討当職は、私道の通行に関する相談者様の状況を詳細にヒアリングし、次の通行権の可能性を検討しました①囲繞地通行権(民法210条・213条)相談者様の土地が袋地であり、公道へのアクセスが私道を通る以外にない状況を確認。囲繞地通行権の成立要件(①公道に通じていないこと、②他の土地の通行なしでは利用が困難であること)を満たしていると判断しました。また、私道が分割譲渡によって形成された場合には、無償の通行権(民法213条)が認められる可能性も確認しました。②通行地役権(民法280条)通行地役権が黙示的に設定されていた可能性を調査。私道が相談者様の土地の利用にとって合理的かつ必然的であり、過去の通行の実態が地役権の黙示的合意と見なせるかを検討しました。③慣習上の通行権地域における長年の慣行や相談者様の土地の利用実態から、慣習上の通行権が認められる可能性を検討しました。④債権契約による通行権過去に私道所有者と契約が存在した形跡がないか、相談者様および地域の歴史を調査しました。2. 囲繞地通行権を主張した交渉の展開交渉の中心は囲繞地通行権の主張でした。当職は以下のポイントを説明しました。・相談者様の土地が袋地であること。・私道の通行が日常生活に不可欠であること。・民法212条に基づき、私道所有者にとって最も損害が少ない場所と方法を提案。また、通行に伴う損害について償金を提示し、合理的な金額を算定しました。3. 合意と地役権設定契約の締結囲繞地通行権を中心に交渉を進めた結果、私道所有者は相談者様の通行を認めました。さらに、将来的な紛争防止のために、地役権設定契約を締結しました。

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澤田 直彦 弁護士からのコメント

私道の通行トラブルは、法律の知識と現地の状況に基づく丁寧な分析が必要です。本件では、囲繞地通行権や通行地役権を適切に主張することで、相談者様の生活の基盤を守ることができました。また、地役権設定契約を締結することで、将来的な紛争リスクを軽減しました。私道に関するトラブルを抱える方は、早めに法的な視点で解決策を検討することをお勧めします。