この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
私の父と母が相次いで亡くなりました。その相続人は3人兄弟となります。父と母のめぼしい遺産は,父と母の共有名義となっている土地建物くらいしかありませんが,その土地建物には兄が居住していて,兄はその土地建物を手放す気もなければ,私に対して代償金を支払う気もありません。どうしたらよいでしょうか。
解決への流れ
遺産分割調停を申し立ててもらい,そのなかで,代償金についての話合いがつかない場合には土地建物が競売になってしまうことを兄に理解してもらえました。それにより,頑なだった兄が土地建物を自分名義に移転する代わりとはいえ代償金を支払ってくれることになり,納得いく解決を図ることができました。
遺産分割調停の場合,当事者間での話合いが最後までまとまらない場合には,遺産分割審判に移行します。遺産分割審判では,不動産は,①共有になるか,②競売による分割になるか,③誰か1人が不動産を取得する代わりにその方が他の相続人に代償金を支払うか,の3つがあり得ます。しかし,①の共有では,いったん共有になったところで共有物分割請求がなされると結局競売による分割をすることになります。③の代償金の支払という分割方法については,代償金を一括で支払えるような限られた場面しか用いることができないことになっています。そのため,②の競売による分割という方法になることが多くなっています。その場合,土地建物に居住している方は,審判に移行した場合に競売になって土地建物に居住できなくなることをおそれて,それまで頑なに代償金の支払を拒んでいた方であっても,調停で話合いをまとめることに同意してもらえることが多くなっています。当事務所では共有からの分割についても多様な事例の経験がありますので,適切な手法のご提案をすることがかのうです。まずはお気軽にご相談ください。