10148.jpg
ディズニーランドのキャストパワハラ訴訟、オリエンタルランドに88万円の賠償命令
2022年03月29日 14時25分

東京ディズニーランド(千葉県浦安市)で着ぐるみをかぶってショーなどに出演していた契約社員の40代女性が、上司からのパワハラで心身に苦痛を受けたとして、運営会社オリエンタルランドに対し330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3月29日、千葉地裁であり、内野俊夫裁判長は、会社側に88万円の支払いを命じた。

判決後、記者会見を開いた女性は「私はいじめやパワハラをやめてほしいと声を上げることは夢を壊すことだと思っていません。夢を壊すための裁判ではなく、夢を守るための裁判だと思っています。なぜ裁判を起こさなければならなかったのか、今一度考え直してほしいです」と涙ながらに訴えた。

東京ディズニーランド(千葉県浦安市)で着ぐるみをかぶってショーなどに出演していた契約社員の40代女性が、上司からのパワハラで心身に苦痛を受けたとして、運営会社オリエンタルランドに対し330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3月29日、千葉地裁であり、内野俊夫裁判長は、会社側に88万円の支払いを命じた。

判決後、記者会見を開いた女性は「私はいじめやパワハラをやめてほしいと声を上げることは夢を壊すことだと思っていません。夢を壊すための裁判ではなく、夢を守るための裁判だと思っています。なぜ裁判を起こさなければならなかったのか、今一度考え直してほしいです」と涙ながらに訴えた。

●女性「従業員にとっても『夢と魔法の国』になって」

訴状などによると、女性はキャラクターコスチュームを着てショーに出演していた。2013年1月から18年3月ごろまでの間、上司から複数回のパワハラを受けたと主張していた。

代理人によると、判決は、女性が人間関係から切り離され、仕事に対して配慮を求めている場合には、会社側は他の出演者に事情を説明するなどして、職場の人間関係を調整して孤立することがないよう配慮する義務があると指摘。会社側の安全配慮義務違反を認め、慰謝料80万円(弁護士費用8万円)の支払いを命じた。

3年8カ月にわたる裁判を終え、女性は「ディズニーが悪いのではなく、悪いのは労働環境を是正していないオリエンタルランドという会社です」と改めて訴えた。

「今も昔もディズニーが好きで、裁判が終わった今も、ディズニーというコンテンツを愛しています。今後自分と同じように憧れて入社してくる方々が、自分を同じ目に合わず安心して働くことのできる、本当に従業員にとっても『夢と魔法の王国』と自信を持って言えるような環境になってほしいです」

代理人の広瀬理夫弁護士は「判決は、いち個人の不法行為を認めるのではなく、原告本人が病気になり困っていた事実は上司も知っていたのにそれを放置した会社の責任を認めた。上司を含めた組織全体が、職場環境を悪化させている、隠蔽しようとしていると認めている」と評価した。

●オリエンタルランド「誠に遺憾」

オリエンタルランド広報部は取材に次のようにコメントした。

「今回の判決において、当社の主張が一部認められなかったことは誠に遺憾であり、判決内容を精査した上で今後の対応を検討してまいります。なお、原告が主張するパワーハラスメントに該当する発言は認められませんでした。ゲストの皆様をはじめとする日頃より当社を支えて下さるすべての皆様に対し、ご心配をおかけしておりますことをお詫び申し上げます」

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る