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掲示板に「中傷コメント」投稿、後で後悔…書き込み当事者でも「削除依頼」できる?
2017年07月02日 09時15分

ネットの掲示板で、個人を中傷するコメントを書き込んでしまったが、削除依頼できるのか? そんな質問が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。「個人情報などは一切だしていませんが、見る人が見れば誰のことかはわかる内容」だといい、「中傷したことを反省していて1日も早く削除して欲しい」と考えています。

掲示板の管理人に削除依頼を出したものの、回答はありません。削除依頼に対応してもらえない場合、どのように対応すればいいのか。また削除にはどのくらいの日数がかかるか、と聞いています。

被害者側は「削除請求」を依頼できることは知られていますが、今回のように当事者側からも申し立てることはできるのでしょうか。田中一哉弁護士に聞きました。

ネットの掲示板で、個人を中傷するコメントを書き込んでしまったが、削除依頼できるのか? そんな質問が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。「個人情報などは一切だしていませんが、見る人が見れば誰のことかはわかる内容」だといい、「中傷したことを反省していて1日も早く削除して欲しい」と考えています。

掲示板の管理人に削除依頼を出したものの、回答はありません。削除依頼に対応してもらえない場合、どのように対応すればいいのか。また削除にはどのくらいの日数がかかるか、と聞いています。

被害者側は「削除請求」を依頼できることは知られていますが、今回のように当事者側からも申し立てることはできるのでしょうか。田中一哉弁護士に聞きました。

●サイト管理者に削除依頼を出せるか?

当事者からも、削除依頼は出せるのでしょうか。

「管理者に対する削除依頼は、投稿者本人も出すことができます。多くのサイトでは、削除依頼できる者の資格を限定していないからです。よって、この点について、サイトポリシーなどで特段の定めがない限り、投稿者も、削除依頼を出すことが可能です。

ただ、これに応じるか否かは、あくまで管理者側の判断になります」

削除依頼に対応してもらえない場合、どう対応すればいいのでしょうか。

「通常であれば、そのような場合には、法的措置をとることになります。

具体的には、裁判所に対して、削除仮処分命令申立を行う等の措置です。しかし、投稿者は、このような手段を取ることはできません。理由は、「他人を中傷する書き込み」によって、投稿者の権利は侵害されていないからです。

そもそも保全されるべき権利のない投稿者には、削除を求める法的根拠がないのです」

では、投稿者はまず何からやるべきでしょうか。

「まず、やるべきことは、『自分の書き込みが、違法かどうか確認すること』です。実のところ、一般の方がイメージする名誉毀損と、法的意味での名誉毀損とは大きく異なります。

主観的に名誉毀損と感じる内容であっても、専門家から見れば無害と判断されることも多いのです。そして、無害な書き込みであれば、そもそも、削除の必要はありません」

今回の相談者のケースでは、どうでしょうか。

「本件の相談者も、『見る人が見れば誰のことかわかる内容』の書き込みについて、ご心配されているようです。

しかし、名誉毀損の成否を判断する上で重要なのは、『前提知識の無い第三者(たとえば裁判官)から見て、誰のことか分かる内容か否か』です。投稿者としては、削除の方法を探す前に、まず、この点が肯定できるのか、冷静に検討すべきでしょう。

もし、自分では判断がつかないようなら、ネット事件に詳しい弁護士に相談すればよいでしょう」

●書き込み内容が「違法」と評価された場合は?

書き込み内容が「違法」と評価された場合、どんな対応をするべきなのでしょうか。

「その場合、投稿者にできるのは、被害者に対する謝罪と賠償だけです。もし、現実世界の知り合いをネットで中傷してしまったのであれば、速やかに、被害者に連絡を取って、その被害回復に協力すべきです。

一方、中傷してしまった相手が面識のない人物であれば、被害者側で法的措置がとられるのを待つしかありません。もし、被害者が、そのような措置をとれば、プロバイダ経由で投稿者に連絡が行くはずです(プロバイダ責任制限法4条2項など)。

その際、あなたが、自身の書き込みを後悔しており、被害者に謝罪や賠償をしたいと考えているのであれば、プロバイダにその意思を伝えましょう。そうすれば、追って、被害者の方から、あなたに接触してくるはずです」

相談者は勢いで書いてしまったのでしょうが、身から出た錆とはいえ、気の休まらない日々となりそうですね。

「たしかに、このように自分の過ちを告白することは勇気が要ります。また、そのような告白によって、負うことになる負担(賠償金の支払等)も軽くないでしょう。

しかし、それでも、責任逃れのために醜悪な嘘をつくよりはマシです。そのような不誠実な対応は、被害者の怒りを増加させ、最悪の場合、刑事告訴につながる可能性もあるからです。

「過ちて則ち改むるを憚ること勿れ」。過ちを犯したら、躊躇せず、すぐに改める。難しいことですが、ネット上の中傷についても、この言葉以上に的確な指針は無いように思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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