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地下鉄サリン被害者アンケート・3割がPTSDの可能性「被害は終わっていない」
2015年02月24日 20時10分

オウム真理教犯罪被害者支援機構は2月24日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、地下鉄サリン事件の被害者・家族に対して行ったアンケート調査の結果を発表した。アンケートでは、「心的外傷後ストレス症状(PTSD)になっている可能性が高い」ことを意味する「高リスクな人」が、被害者本人で29.1%。家族では58.8%いたという。被害者の「心の傷」は、事件から20年が経っても癒えていないとみられる。

オウム真理教犯罪被害者支援機構は2月24日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、地下鉄サリン事件の被害者・家族に対して行ったアンケート調査の結果を発表した。アンケートでは、「心的外傷後ストレス症状(PTSD)になっている可能性が高い」ことを意味する「高リスクな人」が、被害者本人で29.1%。家族では58.8%いたという。被害者の「心の傷」は、事件から20年が経っても癒えていないとみられる。

●事件6年後よりも「悪化」

アンケートの調査・分析を担当した筑波大学の松井豊教授によると、今回の心理テストでは、外傷性ストレス反応(IES-R)の有無を調べた。地下鉄サリン事件の6年後に実施された同様の調査では、高リスク者が21.9%だったといい、今回の結果はその時よりも悪化しているという。また、阪神大震災でストレスに晒された「消防職員」を対象にした同様の調査では、高リスク者が16.3%だったといい、今回の結果は「かなり高い比率」だという。

●8割が「目の異常」

一方、現在の「身体の症状」を聞いたところ、被害者の8割前後が「目の異常」を感じていた。地下鉄サリン事件の2年後(97年)に病院で実施された調査と比較すると、ほとんどの項目で、今回のほうが症状が重くなっていたという。

松井教授は「高齢化などの影響も考えられるが、全体の傾向をみると症状が悪化している可能性や、事件から遅れて症状が出てきている可能性がある」としている。

また、「現在の気持ち」については、被害者の回答のトップ3が「事件を風化させたくない」(72%)「オウムの後続団体に怒りを感じている」(69%)「死刑を早く執行して欲しい」(53%)だった。

「事件や被害者支援に関して望んでいること」は、同じく「健康診断」(47%)「マスコミの継続的な報道」(41%)「経済的な支援」(29%)だった。

アンケートは、2014年の10月に郵送で実施。連絡先の判明した被害者本人と家族953人に調査票を送り、有効回答者は317人だったという。

●「地下鉄サリンの被害は継続中」

被害者遺族の高橋シズヱさんは「20年経ったいま、被害の現状がどうなっているのかが全然見えていなかった」と、アンケート調査を実施した動機を語った。高橋さんは「地下鉄サリンの被害は終わっていない。継続中だということを強く感じている」と強調していた。

オウム真理教犯罪被害者支援機構・理事長の宇都宮健児弁護士は「国が被害者の経済的支援に乗り出したのは、事件から13年が経った2008年のことだった。今も身体の異常を訴える人が多いが、国はまだ健康診断を実施していない」などと指摘し、被害者への支援を訴えていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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