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<永久保存版>廃墟探索や撮り鉄も要注意!一歩間違えば犯罪に?趣味と法律のグレーゾーン徹底解説
2025年09月25日 10時44分
#撮り鉄 #廃墟探索 #廃線 #建造物侵入罪

YouTubeやSNSで、廃墟探索や廃線ウォークが人気です。朽ちたトンネルや線路跡を歩く映像にワクワクする人も多いでしょう。

しかし、実際に自分で足を踏み入れるとなると「これって違法じゃないの?」という不安もよぎります。

趣味の延長でうっかり他人の土地に立ち入ってしまった場合、法的にはどう評価されるのでしょうか。

鉄道に造詣が深い甲本晃啓弁護士に教えてもらいました。

YouTubeやSNSで、廃墟探索や廃線ウォークが人気です。朽ちたトンネルや線路跡を歩く映像にワクワクする人も多いでしょう。

しかし、実際に自分で足を踏み入れるとなると「これって違法じゃないの?」という不安もよぎります。

趣味の延長でうっかり他人の土地に立ち入ってしまった場合、法的にはどう評価されるのでしょうか。

鉄道に造詣が深い甲本晃啓弁護士に教えてもらいました。

●うっかり他人の土地に入ることは身近にある

私は、廃道や廃線を探索する動画を見るのが大好きで、日々YouTubeでそうしたチャンネルを追いかけています。朽ちたトンネルや自然に還りつつある路盤を歩く様子を臨場感たっぷりに紹介する動画は、とても楽しいです。

ただ、不思議なことに「これって違法じゃないの?」という声はあまり耳にしません。

実際、法律的にどう評価されるのか考えてみると、なかなか奥深いテーマです。

たとえば、道を歩いていて空き地に入り込んでしまったり、鉄道撮影で線路脇に近づいたり、廃墟や廃トンネルに足を踏み入れたり──。

趣味の活動の中で、うっかり他人の土地や施設に立ち入ってしまうことは意外と身近にあります。ここでは、そうしたケースを法律の視点から整理してみたいと思います。

●損害がなければ民事責任は基本的に生じない

民法上、損害賠償責任が成立するには「不法行為によって相手に損害を与えた」ことが必要です。単に立ち入っただけで地面を荒らしたり、所有者に損害を与えたりしていなければ、ただちに賠償義務が生じるわけではありません。

●刑事責任は「退去要求」や「侵入態様」がポイント

刑法130条の建造物侵入罪は、建物やそれに準ずる囲繞地(柵や塀で囲まれた庭など)に無断で入った場合に成立します。

逆に、外から誰でも入り込める空き地に「平穏に」立ち入っただけでは処罰対象になりません。ただし、土地所有者から「出てください」と退去を求められ、それに従わなければ不退去罪などが成立する可能性があります。

なお、有名撮影地で一部の「撮り鉄」が一般の方に罵声を浴びせて退去させる行為は、強要罪や脅迫罪にあたります。

●畑や花壇を踏み荒らしてはいけない

注意すべき典型的なケースは以下の通りです。

・畑や花壇に立ち入って踏み荒らす、枝を切る
→たとえ意図的でなくても「損害賠償責任」が発生します。

・柵や塀で囲まれた建物の敷地(庭)に入る
→建造物侵入罪(刑法130条)にあたります。

・「立入禁止」看板を無視する
→故意性が強く、トラブル化しやすいといえます。

●鉄道撮影で注意すべきポイント

鉄道用地への立ち入りは厳禁です。線路やバラスト(砕石)部分はもちろん、柵を越えたエリアも鉄道用地で、無断で入れば鉄道営業法違反となりえます。境界は20メートルごとに設置される赤頭の杭「用地境界標」で確認できます。

画像タイトル 用地境界標(甲本弁護士撮影)

また、鉄道用地でも公道でもない場所で撮影する際は、積極的に地元の方へ挨拶や声をかけることもおすすめします。

「今日は○○という珍しい列車を撮りに来ました」と一言伝えれば、自然に会話が生まれることもあります。自分が常識をわきまえた撮影者だと理解してもらえるのは大きなメリットです。

万一、「そこは入ってほしくない」と思われていた場合でも、相手が言い出しやすく、大きなトラブルに発展せずに解決できます。

●廃墟探索で注意すべきポイント

ホテル、病院、変電所、工場・・・廃墟と一口で言っても、屋根や壁が残り、構造が保たれている限り「建造物」にあたります。

ただし、建造物侵入罪が成立するのは、その建物が現に人によって管理・支配されている場合に限られます。

たとえば、鍵がかけられていたり、フェンスや看板で「立入禁止」が明示されていたり、監視カメラで管理されている場合は、無断で立ち入れば建造物侵入罪となる可能性があります。

一方で、すでに管理の実態がなく放置されている廃屋に立ち入る場合は、原則として犯罪にはあたりません。

ただし、老朽化による崩落やガラス片などの危険が大きいため、安全面のリスクは意識する必要があります。

●廃道探索(オブロード)で注意すべきポイント

廃道探索は、徒歩が少なくありませんが、廃道に見えても「供用中」の場合は「道路」なので自動車専用道のような通行規制のない限り徒歩で立ち入ることは適法です。

また、供用が廃止された「元道路」は野山と同じですので、原則として徒歩での立ち入りが犯罪となるわけではありません。

ただし、国有林(国有林野の管理経営に関する法律)などでは目的によっては事前に届出が必要な場合があります。

参考
https://www.rinya.maff.go.jp/chubu/introduction/gaiyou_kyoku/nyurinkyoka/nyurintodoke.html

立て看板などで案内されていることも多く、注意しておくとよいでしょう。

ただし、人の侵入を阻むように設置されたバリケードを破壊することは器物損壊罪として処罰される可能性があります。

オブロードの趣味は、探検的要素が強く、危険と隣り合わせで活動するシーンも多くあります。ひとたび重大な事故が起これば、こういった趣味に厳しい目が向けられる可能性があります。

活動が制約されることのないように、安全に十分配慮しつつ探索していただきたいと思います。

●林道走行で注意すべきポイント

林道の法律関係は実はとても複雑で、公道として供用されているものと、林業用など私有地扱いのものがあります。

公道と私有地を見た目だけで区別することは困難ですが、ゲートや「通行止」「立入禁止」の表示がある場合は無視して入ればトラブルとなりえます。軽犯罪法違反にもあたるので注意が必要です。

公道かどうかは市区町村役場の道路管理課に照会したり、道路台帳を閲覧することで確認することができます。

また、林道で管理や作業している人がいれば「こんにちは。自転車で◯◯まで行きたいのですが、通っても良いですか」と聞いてみることもトラブルの防止に役立ちます。

なお、現実的には林道の種類を問わず趣味での通行が黙認されている場合もあります。しかし、SNSで通行可能な林道として紹介され、実際に訪れたマナーのない通行者が地元の方とトラブルを起こしたり、路面を荒らした結果、通行止めにされてしまったというケースもよく見聞きします。

そのため、「暗黙の了解」として軽々にそういった情報を公にすることを良くないと考える人は少なくありません。もちろん、詳細な情報をSNSに書いて良いかは個人で判断するべきことではありますが、そういったことがトラブルに発展しやすいということは、理解をしておく必要があると思います。

●大切なのは「常識」と「コミュニケーション」

全国には境界が曖昧な土地が少なくありません。だからこそ、常識的な注意を払い「ここは誰かの土地かもしれない」と意識して行動することが大切です。

土地所有者の意思表示がない場合には、法律的には違法と評価されにくいのですが、それでもトラブルを防ぐにはコミュニケーションが重要になります。

●「ここは誰かの土地」という意識を忘れずに

趣味の活動の延長で、うっかり他人の土地に足を踏み入れてしまうことは誰にでもありえます。しかし、これまで述べてきたように

・損害を与えないこと
・柵や看板を尊重すること
・退去要求にはすぐ従うこと
・鉄道や建造物のように特別の規制・危険がある土地は特に注意すること
・特にSNSでは自分の行動の影響を常に意識すること

この5点を守っていれば、基本的に大きな法的リスクは回避できます。

「廃道や廃線を歩く探検動画」を楽しむのと同じように、実際に自分で趣味活動をする際には、「ここは誰かの土地」という意識を忘れずに、法律と常識のバランスを意識することが大切です。

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