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弁護士の4割「裁判官の居眠り見た」、働かせすぎや「退屈な尋問」を問題視する声も
2022年08月12日 10時03分

仙台地裁で6月、裁判中に裁判員の男性がいびきをたてて居眠りし、辞任する事態がありました。しかし、弁護士や傍聴人の間では、法廷内での居眠りは裁判員に限らないとの指摘が上がっています。

弁護士ドットコムは登録の弁護士を対象に、法曹三者が裁判中に寝るのを見たことがあるか調査したところ、265人が回答を寄せてくれました。裁判官や弁護士については「ある」が約4割だった一方、検察官は1割にも満たないという結果が出ました。

6割強の弁護士が「居眠りはどんな状況でも許されない」と厳しい意見を出したものの、処分するかについては消極的な意見が目立ちました。むしろ、居眠りを引き起こすような裁判手続きの進行方法や、過労による体調管理の必要性といった課題が見えてきました。

仙台地裁で6月、裁判中に裁判員の男性がいびきをたてて居眠りし、辞任する事態がありました。しかし、弁護士や傍聴人の間では、法廷内での居眠りは裁判員に限らないとの指摘が上がっています。

弁護士ドットコムは登録の弁護士を対象に、法曹三者が裁判中に寝るのを見たことがあるか調査したところ、265人が回答を寄せてくれました。裁判官や弁護士については「ある」が約4割だった一方、検察官は1割にも満たないという結果が出ました。

6割強の弁護士が「居眠りはどんな状況でも許されない」と厳しい意見を出したものの、処分するかについては消極的な意見が目立ちました。むしろ、居眠りを引き起こすような裁判手続きの進行方法や、過労による体調管理の必要性といった課題が見えてきました。

●民事裁判の尋問中に目撃多数、実際に抗議した人は少ない

調査は今年7月に弁護士ドットコムの登録弁護士を対象にメールで実施しました。

裁判官の居眠りについては「かなり見かける」1.5%、「時々見かける」40.5%、「ない」58.0%でした。具体的エピソードを募ったところ、主に民事裁判での尋問中の目撃情報が多数寄せられました。中には「1時間以上眠っていた」「いびきをかいていた」などの強者もいたといいます。

「原発関係訴訟で右陪席がうとうと。傍聴席は満席でヒヤヒヤした」 「昼食後の時間帯の手続における居眠りが多い」 「開廷中に寝ていて、ネットで書き込みされていた」

こうした裁判官の居眠りの是非について、66%が「どんな状況でも許せない」と回答しているものの、実際に抗議した人は5%にとどまります。「裁判官と感情的に対立したくないので、黙っている」などと心証を悪くしたくないとの苦しい胸の内が透けて見えてきます。

中には「退屈な尋問をしてしまう方が問題ではないか、と思ってしまう」などと自責の念を述べる人もいます。対策として「興味のありそうなワードを複数回強めに言うなど流れを修正した」という人もいました。

「寝るようなつまらない訴訟活動をする方が悪いので、寝た方を処罰するというのはおかしい。寝られた方こそ猛省すべきである」との厳しい意見もありました。

●弁護士も眠気対策「つねる」「コーヒーを飲む」「尋問前は軽食にする」

今回、弁護士の居眠りについての目撃情報も聞いています。「かなり見かける」1.9%、「時々見かける」35.1%、「ない」は63.0%でした。弁護団を組んでいる場合や、自分があまり関係のない時に寝ている状況が多いことが見受けられます。

「弁護団が組まれているとき、他の弁護士にまかせて寝ている」 「ボスに連れてこられたイソ弁が寝ていることがある」 「70代のボス弁は、裁判、調停でも10分を超えると必ず寝てしまいます。早く引退してほしい」

自身が居眠りしたことがあるか問う質問に対しては「ない」61.6%「しそうになったがしなかった」32.7%と、ほぼ全員が寝ていないといいます。ただ「ごくたまに」と正直に独白する人も5.7%いました。

「自分がイソ弁の頃、熱くなるジイさんに丸投げして寝たことがある」「午後の集中証拠調べは眠気との戦い」と明かす人もおり、「つねる」「コーヒーを飲む」「尋問前は軽食にする」などさまざまな対策で居眠り回避の努力をしているようです。

●処分については消極的「働かせすぎな組織体制に問題がある」

法廷内での居眠りが数多く目撃されている実態が浮かび上がってきましたが、こうした法曹を処分すべきかどうかについて自由回答で質問すると、147人が意見を寄せてくれました。

「病気や過労の場合もある」「その場での口頭注意でよい」など懲罰は不要との意見が多数を占めましたが、何度も繰り返す悪質な場合について「人の生死にもかかわる仕事であるため、重く処罰されるべき」「職務時間中に寝るなど言語道断」「裁判官は始末書提出」などの強硬派もいました。

個人の処分をするよりも、居眠りを引き起こす原因や背景を特定し、予防策を検討すべきだとの提案が相次ぎました。裁判の進行のあり方や、法曹の働き方について改善することを求めています。

「1時間につき10分の休憩を入れるなど予防策を検討すべき」
「裁判官や検察官の場合、あまりに多い場合は睡眠障害か労働のさせすぎなので、むしろ組織体制に問題がある」
「刑事はともかく、民事においては証拠至上主義で、間接事実や補助事実を含めた『細かい争い(争点)』が乱発され、審理が長期化、複雑化することが要因なのでは」
「眠る隙もないような、スピーディーで密度の高い法廷を作るよう、法曹三者全員が努力すべき」
「書面主義の運用が居眠りを招いている側面がある」
「裁判官、検察官の深刻な人員不足が居眠りの形で顕在化しただけであって、まずは人員不足の解消が先ではないか」

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