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「ビッグモーターと検察組織の暴走は同じだ」郷原弁護士が指摘する「閉鎖性」と「権力集中」
2023年08月26日 09時14分
#ビッグモーター

保険金の不正請求に始まった中古車大手「ビッグモーター(BM)」の不祥事は、とどまることを知らない。売上至上主義で突っ走った結果、多くの社員が不正に手を染めることとなった。

コンプライアンスを専門とする元特捜検事の郷原信郎弁護士は「結果さえ出せばいいという、なりふり構わぬやり方に歯止めがきかなくなった。その病理はカルト宗教の統一教会や特捜検察も同じだ」と解説する。

「非上場で閉鎖的だったため、権限は一カ所に集中する。構成員は考えることをやめ、『無脳化』していく」と厳しく批判。一方で、刑事事件としての立件は「絶対にやめたほうがいい。トップの罪の立証はできない。社員に血が流れ、新たな災難が起きる」とくぎを刺す。

保険金の不正請求に始まった中古車大手「ビッグモーター(BM)」の不祥事は、とどまることを知らない。売上至上主義で突っ走った結果、多くの社員が不正に手を染めることとなった。

コンプライアンスを専門とする元特捜検事の郷原信郎弁護士は「結果さえ出せばいいという、なりふり構わぬやり方に歯止めがきかなくなった。その病理はカルト宗教の統一教会や特捜検察も同じだ」と解説する。

「非上場で閉鎖的だったため、権限は一カ所に集中する。構成員は考えることをやめ、『無脳化』していく」と厳しく批判。一方で、刑事事件としての立件は「絶対にやめたほうがいい。トップの罪の立証はできない。社員に血が流れ、新たな災難が起きる」とくぎを刺す。

●「利益追求が暴走し、真っ黒に」

2007年に「『法令遵守』が日本を滅ぼす」を著した郷原氏。コンプライアンスが法令遵守と訳され、ことさらにうたわれていたころだ。逆に、法律やルールに反していなければいいという状況を生むことに警鐘を鳴らした書で、現在まで20刷を重ねている。

16年たった今も、不祥事が起これば謝罪会見などでこの言葉が繰り返されている。ビッグモーターの和泉伸二新社長も「コンプライアンスを常に意識して守っていきます」と話していた。

「統一教会もコンプライアンス宣言と言っていましたね。私が考えるコンプライアンスは、社会の要請に応えることです。本来なら、時代によって変わっていく社会の要請にバランス良く応えていかなければなりませんが、BMは利潤追求に単純化してしまった」

「まともな組織なら抑制が働きますが、創業者系の副社長が権限を持ったことで歯止めの要素がなくなり、走り始めたら止まらない状態。もともと真っ白ではない業界で、暴走し真っ黒になったということです」

●「コンサルの助言を曲解」

郷原氏は、BMが参考にしていたとされる経営コンサルタント「武蔵野」の問題点にも言及する。死者・不明者26人を出した知床遊覧船沈没事故の運営会社も、同社の経営指導を受けていたという。

「徹底的なコストカットといっても、さすがに安全を軽視するほどのことを直接指示していないはずです。利潤追求だけが目的だという単純な価値観に染まれば、考えなくて済む。2012年の第2次安倍政権以降、法令遵守による『開き直り』が幅を利かせ、都合が悪くなると法律の解釈変更をするなど、『法令遵守と多数決の論理』で貫かれてきた社会の空気も影響しているのではないでしょうか」

一度誤った方向にいった組織が、引き返すにはどうすればよいのか。

「BMはきれいに潰すか、別の組織に生まれ変わるかでしょう。世間のバッシングに流されて、警察や検察が悪ノリしたら最悪です。末端の社員たちが器物損壊で立件されるなど、そこかしこに血が流れます」

●「特捜検察にも同じ病理が巣食っている」

さらに、特捜部の検事としての経験から「BMなどに見られる病理は、検察庁内部とも似ています」と話す。

「閉鎖的でトップが強い。かつての特捜部は、上が描いた事件のストーリー通りに『自白』という名で調書に署名させる。脅しやだまし、なんでもありでした。相手を屈服させるために、末端の検事の大多数が無脳化した状況でした。今の特捜部にも、そういう体質は根強く残っているように思えます。

個を貫ける人も少数ながらいますが、出世のために従ってしまう。上に逆らえば人事評価で如実な差別をされ、みじめな思いをすることになる」

現在、担当している東京五輪の談合事件ではイベント会社専務の保釈は第6次請求までもつれ、勾留は200日近くにわたった。

「最近は人質司法が悪辣化している。刑訴法上の権限を悪用した監禁ではないかと思うほどです。内部を知る私のような人間が、外から戦いを仕掛けないと変わらない。検察側が否定できない事実をぶつけ続けるしかありません」

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