2833.jpg
「早稲田のゴッドハンド」摘発…整骨院水増し請求、話に乗った患者側も罪に問われる?
2017年06月04日 09時33分

「早稲田のゴッドハンド」摘発ーー。東京都新宿区の早稲田大学近くの整骨院の元院長(44)が、交通事故でけがをした会社役員と共謀して、けがの治療回数を水増しして保険金など82万円をだまし取った疑いで、警視庁に逮捕された。元院長は「早稲田のゴッドハンド」としてテレビ出演などもしていた。

5月26日のテレビ朝日やフジテレビの報道によると、元院長は治療に訪れた会社役員に対して、「通院日数が多いほど慰謝料などが多くもらえる」などと持ちかけたという。この会社役員も逮捕されている。

整骨院の治療をめぐる不正請求については、以前から問題になっているが、法的にはどのような点が問題なのだろうか。外口孝久弁護士に聞いた。

「早稲田のゴッドハンド」摘発ーー。東京都新宿区の早稲田大学近くの整骨院の元院長(44)が、交通事故でけがをした会社役員と共謀して、けがの治療回数を水増しして保険金など82万円をだまし取った疑いで、警視庁に逮捕された。元院長は「早稲田のゴッドハンド」としてテレビ出演などもしていた。

5月26日のテレビ朝日やフジテレビの報道によると、元院長は治療に訪れた会社役員に対して、「通院日数が多いほど慰謝料などが多くもらえる」などと持ちかけたという。この会社役員も逮捕されている。

整骨院の治療をめぐる不正請求については、以前から問題になっているが、法的にはどのような点が問題なのだろうか。外口孝久弁護士に聞いた。

●不正請求の話を持ちかけられた側も罪に問われる?

「残念なことに、整骨院が、診療報酬欲しさに患者に水増し請求を持ちかけて結託するケースや、患者の知らないところで水増し請求をするといったケースは、これまでも度々ニュースになっています。」

具体的には、どのような法的問題があるのか。

「行ってもいない施術を受けたことにして保険会社に治療費を請求(以下、『水増し請求』といいます)をすれば、これは『詐欺罪』(刑法246条)に該当する行為です。

保険会社としては、払う必要のない治療費を騙し取られているのですから、先ほど説明した刑事責任のほかに、保険会社から、民事上の責任追及として、詐取した額の返還を求められることは当然です。

また、整骨院では『柔道整復師』という国家資格を持つ者が施術を行いますが、柔道整復師について定めた柔道整復師法においては、『罰金以上の刑に処せられた者や柔道整復の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者に対しては、厚生労働大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めてその業務の停止を命ずることができる』(柔道整復師法第4条3号4号、同法8条1項)と定められているので、水増し請求が発覚すれば、最悪の場合、柔道整復師は免許を失うことになります」

話を持ちかけられた患者側も罪に問われるのか。

「不正請求だとわかっていて整骨院の水増し請求を放置すれば(謝礼などを受け取っていればなおのこと)、いわゆる共犯となるため、整骨院側と同様に、詐欺罪に問われることになります。もちろん、患者から話を持ちかけたとしても、整骨院側、患者ともに罪に問われます。」

どのようなことがきっかけで発覚するのか。

「水増し請求は社会問題化していますので、保険会社のチェックも年々厳しくなっているようです。

あまりにも多数回の通院がなされていたり、施術の部位が著しく多かったりするなど、記録上不自然な点があれば、保険会社による調査がなされることもありえると思います。」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る