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上司の「モラハラ」と「実名」をネットで公表・・・名誉毀損になってしまう?
2016年02月08日 12時44分

理不尽な目にあい、なんとかして相手に復讐したいと衝動にかられることは、誰しもあるだろう。でも、よくよく注意をしたほうがよさそうだ。上司から精神的な暴力「モラルハラスメント」の被害にあったという女性の場合、ネットに投稿したことを理由に、1000万円もの慰謝料を請求されたというのだ。

その女性が、弁護士ドットコムの法律相談に相談をよせた。女性は、勤めていた会社の上司から「法に触れない範囲で巧妙にモラルハラスメント」をされ、自己都合退職したという。そこで、女性がネット上の掲示板に、モラハラの内容と会社名、上司の実名を書きこんだのだそうだ。

すると、上司に名誉毀損で訴えられ、慰謝料1000万円を請求されたのだという。「私の書き込みのせいで上司は鬱病になったとの診断書が添付されていました」。投稿者いわく、掲示板に書き込んだ内容は「すべて事実」。ただ、録音などの証拠はなく、退職理由も自己都合という形になっている。

ネットの掲示板には、上司から浴びせられた暴言や嫌がらせの内容を詳細に書き込んだ投稿も珍しくない。上司に嫌がらせをされた腹いせに、ネットでその内容を明かしたくなったとき、どこまで詳しく書いていいのだろうか。河野祥多弁護士に聞いた。

理不尽な目にあい、なんとかして相手に復讐したいと衝動にかられることは、誰しもあるだろう。でも、よくよく注意をしたほうがよさそうだ。上司から精神的な暴力「モラルハラスメント」の被害にあったという女性の場合、ネットに投稿したことを理由に、1000万円もの慰謝料を請求されたというのだ。

その女性が、弁護士ドットコムの法律相談に相談をよせた。女性は、勤めていた会社の上司から「法に触れない範囲で巧妙にモラルハラスメント」をされ、自己都合退職したという。そこで、女性がネット上の掲示板に、モラハラの内容と会社名、上司の実名を書きこんだのだそうだ。

すると、上司に名誉毀損で訴えられ、慰謝料1000万円を請求されたのだという。「私の書き込みのせいで上司は鬱病になったとの診断書が添付されていました」。投稿者いわく、掲示板に書き込んだ内容は「すべて事実」。ただ、録音などの証拠はなく、退職理由も自己都合という形になっている。

ネットの掲示板には、上司から浴びせられた暴言や嫌がらせの内容を詳細に書き込んだ投稿も珍しくない。上司に嫌がらせをされた腹いせに、ネットでその内容を明かしたくなったとき、どこまで詳しく書いていいのだろうか。河野祥多弁護士に聞いた。

●「社会的評価の低下」を招く内容は「名誉毀損」にあたる

「今回のケースで、投稿者は名誉毀損で訴えられたということですが、そもそも、名誉毀損とは、人に対する社会的評価を低下させる行為のことをいいます。

相談を寄せた女性のように、ネット上に、上司の名前や会社名、モラハラの内容を書き込んだ場合、それが上司の社会的評価の低下を招くような内容であれば、名誉毀損にあたると判断され、損害の賠償をしなければならなくなります」

では、女性は支払わなくてはならないのだろうか。

「どこまで詳しい内容を書き込んだら社会的評価の低下を招くものとなるのかは、書き込んだ人と、書き込まれた人それぞれの立場、具体的な文言、全体の流れなどから総合的に判断することになります。一律にその可否について判断するのは難しいのです。

この女性のケースでいえば、次のような場合は、名誉毀損が認められる可能性があります。

投稿が理由で、上司の社内外での評判が著しく下がった、会社の評判が下がったなどの悪影響があったような場合、その結果としてうつ病による休職や退職を余儀なくされた、再就職にも影響があったような場合です。いっぽう上司には、それらの原因がネットの投稿にあることを証明する必要があります。

しかし、慰謝料として1000万円が認められるとは考えられません。名誉毀損の慰謝料としては、せいぜい数十万円程度のことがほとんどです(場合によっては、200〜300万が認められているケースもあります)」

いっぽうで、「名誉毀損とはならない場合もある」と河野弁護士は指摘する。

「『表現の自由』や『知る権利』の重要性にかんがみ、それとのバランスを図るために、以下の3つの要件を全てみたす場合には、違法性がないとして名誉毀損とはなりません。

(1)公共の利害に関する事実に係ること

(2)もっぱら公益を図る目的であること

(3)摘示された事実が真実であること

ただ、一般の方の書き込みは、多くの場合、この例外的な事情には該当しないことが多いと思われます。


ネット上の匿名の書き込みでは、内容がエスカレートしがちですが、完全な匿名ということはほとんどありません。書き込みの内容から、個人が特定されてしまうことも充分に考えられますので、常に責任と常識をもって上手にネットを活用していただければと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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