4508.jpg
人気サンダル「クロックス」そっくりのパンがSNSで話題…「売って大丈夫?」の声も 弁護士の見解は
2024年10月06日 09時54分
#クロックスパン #意匠権 #デザイン模倣 #クロックス

脱ぎ履きしやすい形が人気を集めるクロックスのサンダル。

足の甲の部分に空いている複数の穴やかかとを固定するバンドなどオリジナルのデザインが特徴的だが、その見た目を模倣した「クロックスパン」なるものが販売され、SNSで話題になっている。

東京・新大久保の韓国系ショップや地方の祭りに出店した屋台で1個500円ほどで売られ、人気を博しているようだ。

SNS上には「可愛すぎて食べるのもったいない」「お土産にしたらめちゃ喜ばれました」という購入者の感想が書き込まれている一方、「面白いなと思うけど売りに出しちゃうの大丈夫なのか気になる」「許可取ってるのかな?」などといった投稿も。

クロックス社は取材に、「本件はGlobalレベルで認識をしておりますが、その上でクロックス社としては具体的な個別の対応等を開示しておりません」と回答した。

アメリカ発のブランドであるクロックスの商品デザインを真似した食べ物を販売することに法的な問題はないのか。知的財産権にくわしい齋藤理央弁護士に聞いた。

画像タイトル クロックスパンを販売している店の前にあるのぼり旗には「おみやげに人気no.1」と書かれていた

脱ぎ履きしやすい形が人気を集めるクロックスのサンダル。

足の甲の部分に空いている複数の穴やかかとを固定するバンドなどオリジナルのデザインが特徴的だが、その見た目を模倣した「クロックスパン」なるものが販売され、SNSで話題になっている。

東京・新大久保の韓国系ショップや地方の祭りに出店した屋台で1個500円ほどで売られ、人気を博しているようだ。

SNS上には「可愛すぎて食べるのもったいない」「お土産にしたらめちゃ喜ばれました」という購入者の感想が書き込まれている一方、「面白いなと思うけど売りに出しちゃうの大丈夫なのか気になる」「許可取ってるのかな?」などといった投稿も。

クロックス社は取材に、「本件はGlobalレベルで認識をしておりますが、その上でクロックス社としては具体的な個別の対応等を開示しておりません」と回答した。

アメリカ発のブランドであるクロックスの商品デザインを真似した食べ物を販売することに法的な問題はないのか。知的財産権にくわしい齋藤理央弁護士に聞いた。

画像タイトル クロックスパンを販売している店の前にあるのぼり旗には「おみやげに人気no.1」と書かれていた

●身近な商品のただ乗り?

今回の問題は、知的財産権をめぐる攻防として面白い事案だと思います。

つまり、私たちが子どもの頃は、お祭りの屋台などでは漫画やアニメなどの人気キャラクターの無断利用をやっているのではないかと思われるケースもあったように思います。

おおらかな時代は、キャラクターの人気にただ乗りしていました。しかしコンプライアンスが重視される時代になってきたので、キャラクターなどの無断利用は流石にできない時流で、クロックスなどの身近な商品の親近感を利用、悪く言えばただ乗りしようとしているのかもしれません。

画像タイトル クロックスパンが入った箱の側面

●意匠権や商標権が問題に

今回問題になり得るのは、意匠法や商標法、不正競争防止法、著作権法などさまざまな知的財産権法です。

特に意匠法は問題になるでしょう。今回は、意匠法の観点から解説してみたいと思います。

クロックス社はサンダルに関する意匠権を複数登録しています。

しかし、今回意匠権の侵害は生じないと考えられます。つまり、意匠権の侵害には、そもそものデザインが似ていること以前にデザインを利用している商品が似ていることが必要と考えられています。

これはデザインが似ているという意味ではなく、たとえば同じ履き物である靴とサンダルとか、機能面から似ている商品同士にデザインが利用されている必要があるという意味です。

画像タイトル

●クロックス社の意匠権は及ばず

今回はサンダルとパンなので、一方は履きもの、一方は食べるもの(製造食品)なので機能もまったく異なり、商品は似ていないことになります。

したがって、デザインが似ているかどうかという問題以前に、意匠に係る物品が異なるためにクロックス社の意匠権は及ばないことになります。

今回は意匠権の面だけから言えば、需要者が親しみを覚えるデザインについてパンに上手く利用していると思います。

悪く言えば、ただ乗り成功という側面があるかもしれませんが、このように知的財産権をめぐっては、オリンピックの際などは世界的企業がただ乗りを仕掛けることもあり、興味深い攻防が繰り広げられています。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る