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「意図的に人間を攻撃」クマの被害拡大に専門家集団が警鐘「もはや個人の努力では防げない」
2025年11月07日 13時06分
#クマ #クマ被害 #日本クマネットワーク

全国でクマによる被害が相次ぐ中、クマに関する有識者や専門家らで構成するNGO「日本クマネットワーク」(代表=小池伸介・東京農工大教授)は11月6日、クマをとりまく現状と今後の被害防止対策についてまとめた提言を公表した。

これによると、これまではクマの攻撃は「身を守るため」と考えられてきたが、今秋は「意図的に攻撃している事例」が各地で確認されているという。

同ネットワークは「クマ類による被害は、もはや個人の対策だけでは防ぐことが出来ない状況」として、人命確保を最優先に従来の対策を継続しつつ「これまでにない科学的な対応・制度の改変が急務」と提言している。

環境省によると、今年度は11月5日までにクマによる被害で13人が死亡している。

全国でクマによる被害が相次ぐ中、クマに関する有識者や専門家らで構成するNGO「日本クマネットワーク」(代表=小池伸介・東京農工大教授)は11月6日、クマをとりまく現状と今後の被害防止対策についてまとめた提言を公表した。

これによると、これまではクマの攻撃は「身を守るため」と考えられてきたが、今秋は「意図的に攻撃している事例」が各地で確認されているという。

同ネットワークは「クマ類による被害は、もはや個人の対策だけでは防ぐことが出来ない状況」として、人命確保を最優先に従来の対策を継続しつつ「これまでにない科学的な対応・制度の改変が急務」と提言している。

環境省によると、今年度は11月5日までにクマによる被害で13人が死亡している。

●これまでの常識では理解できないクマの行動

日本クマネットワークの資料によると、2018年までの40年間でクマの分布が約2倍に拡大。出没の多い地域では秋の主食であるドングリ類が不作で、そうした年には、クマは行動範囲を広げる傾向にあったという。

クマの攻撃は「身を守るため」「子グマを守るため」がほとんどだと考えられていたが、今秋は「複数人で行動していても襲われ、あるいは最初から意図的に攻撃する事例」が各地で発生しているという。

同クマネットワークは「特定のクマ個体の特異な行動なのか、複数のクマが人間への警戒心を低下させている、といったクマ側の特性によるものなのか、人間側の特定の行動などに起因するものなのかについては分かっていません」としている。

また、これまで出没が確認されていなかったような市街地の中心部や住宅街でも、クマはパニック状態で逃げ惑うことはなく、日中でも落ち着いた行動をしている事例も複数、確認されているという。

しかし、こうしたクマが、どのような個体であり、どのような目的で侵入したのかもわかっていないという。

●「行政への誹謗中傷を行わない」市民に呼びかけ

日本クマネットワークは、現時点で市民が取るべき行動として、(1)行政が公表する出没マップの確認、(2)外出時のクマ撃退スプレー携行、(3)行政への誹謗中傷はおこなわない──の3点を挙げている。

とくに(3)については、次のように行政と市民の協力を呼びかけている。

「各地の行政の担当職員は人身事故が発生しないように日々業務を遂行し、捕獲や藪払い等の出没抑制に関する取組にも対応しています。一方、当該行政への過度な電話などは、追加の業務を発生させ、本来行うべき出没防止対策や被害防止対策の妨げとなります」

●「個人の努力では防げない事態」国レベルの対策急務

日本クマネットワークでは、被害拡大を受けて「もはや個人の努力では防げない事態」として、今後の被害防止対策も提言している。

提言では、まず「ゾーニング(棲み分け)」の維持や、専門知識のある行政職員の配置、捕獲従事者の確保など、行政体制の強化を挙げている。

さらに大学や研究機関、NPO、民間企業などの連携を強め、最新の科学的知見や技術を共有する仕組みを整えることも求めている。

最後に、これらの施策を実施するには、法整備と予算確保が避けられないとし、現行制度では対応が追いつかないとして、制度改正と財政的支援の必要性をうったえている。

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