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大家の悩み、祖父の代からの店子が「家賃の振り込み忘れ」連発…追い出すことはできる?
2025年11月15日 10時32分
#不動産 #家賃滞納 #信頼関係破壊

「何回も家賃の振り込み忘れをされています」

長年、良好な関係を築いてきたはずの店子との契約に悩んでいる──。弁護士ドットコムにそんな相談が寄せられています。

相談者は、祖父の代から約30年、自宅の一部を飲食店に貸してきました。ところが、ここ最近、家賃の「振込忘れ」が何度も続いているそうです。注意をしても、相手は「はい、ごめんね」と謝るだけ。その場で現金を渡すものの、反省や改善の様子は見られません。

さらに、滞納だけでなく、店舗での無断宿泊、敷地への無断立ち入り、お客の行列による駐車場の出入り妨害など、契約外の迷惑行為もたびたび発生しているとのこと。相談者は「家賃収入を得ることよりも退去させたい気持ちが強まっている」そうです。

長年の信頼関係がある契約でも、頻繁な家賃滞納や迷惑行為は、契約解除の正当な理由となるのでしょうか。

また、30年前に作成した古い契約書に「滞納時の対応」が記されていない場合、大家はどのような法的対処を取ることができるのでしょうか。古賀麻里子弁護士に聞きました。

「何回も家賃の振り込み忘れをされています」

長年、良好な関係を築いてきたはずの店子との契約に悩んでいる──。弁護士ドットコムにそんな相談が寄せられています。

相談者は、祖父の代から約30年、自宅の一部を飲食店に貸してきました。ところが、ここ最近、家賃の「振込忘れ」が何度も続いているそうです。注意をしても、相手は「はい、ごめんね」と謝るだけ。その場で現金を渡すものの、反省や改善の様子は見られません。

さらに、滞納だけでなく、店舗での無断宿泊、敷地への無断立ち入り、お客の行列による駐車場の出入り妨害など、契約外の迷惑行為もたびたび発生しているとのこと。相談者は「家賃収入を得ることよりも退去させたい気持ちが強まっている」そうです。

長年の信頼関係がある契約でも、頻繁な家賃滞納や迷惑行為は、契約解除の正当な理由となるのでしょうか。

また、30年前に作成した古い契約書に「滞納時の対応」が記されていない場合、大家はどのような法的対処を取ることができるのでしょうか。古賀麻里子弁護士に聞きました。

●家賃未払いによる退去「3カ月分以上」が目安

──契約書に「滞納時の措置」の記載がなくても、家賃滞納を理由に退去を求めることはできますか。また、「振込忘れ」などの軽い滞納が繰り返される場合も、契約解除の理由になるのでしょうか。

契約書に滞納時の規定がなくても、家賃滞納を理由に退去を求めることは可能です。民法541条により、催告をしたうえで履行がなければ、債務不履行による解除が認められます。

とはいえ、賃貸借契約のような継続的関係では、賃貸人と賃借人の「信頼関係」が重視されます。債務不履行があっても、その信頼関係が破壊されたとまでいえない場合、解除は認められません。

一般的には、家賃の未払いが3カ月分以上に及ぶかどうかが、信頼関係が破壊されたかを判断する目安とされています。滞納を指摘されるたびにその場で現金での支払いを受けているような場合は、債務の履行はあるため、契約解除は難しいでしょう。

●「店舗での無断宿泊」は用法遵守義務違反の可能性

──借主が店舗で宿泊したり、敷地に無断で立ち入ったりする行為は契約違反になりますか。そうした行為が重なった場合、退去を求めることはできますか。

住居ではなく店舗として賃貸している場合、契約書に明記がなくても、店舗での宿泊は「用法遵守義務違反」にあたる可能性があります。

ここでも、信頼関係の破壊が認められるかどうかが問題となります。たとえば、天候や交通事情などやむを得ない理由で一時的に宿泊しただけなら、信頼関係の破壊があったとまではいえません。

しかし、店舗兼住居のように日常的に寝起きしている場合は、信頼関係が破壊されたと主張できそうです。なお、宿泊に気づいていながら長年指摘せず放置していた場合は「黙示の承諾」があったと反論される可能性もあります。

●新たな契約書でトラブル防止を

──長年、契約を更新していない場合は、法律上はどう扱われるのでしょうか。新たに契約書を作り直すことでトラブル防止につながりますか。

契約を長期間更新していなくても、借地借家法の定めにより「法定更新」されるので、賃貸借契約は有効に存続します。

ただし、今後のトラブルを防ぐために、新たな契約書を作成することは有益です。

たとえば、「店舗での宿泊や敷地への無断立ち入りを禁止する」「行列による駐車場の出入り妨害をしない」といった条項を明記した契約書を合意のうえ作成しておくと、条項違反を指摘できるので、一定の抑止力になります。

また、「家賃を滞納した場合は、催告なしで直ちに契約を解除できる」とする無催告解除の条項を設けることも、一つの方法です。催告しなくても不合理とは認められない事情があるような場合は、これによって解除できることがあります。

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