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卒アル写真をLINEグループに投稿→スクショが拡散 中学男子の悪意なき行為の結果は
2025年10月27日 10時07分
#SNS #肖像権 #プライバシー権 #卒業アルバム

中学生の息子が、クラスのグループLINEに別クラスの女の子の卒アル写真を投稿し、女の子の親から「今後の対応次第では訴訟を起こす」と言われているーー。そうした相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

中学生ともなると、子どもがスマホで何をやっているのか親が把握するのは非常に難しくなります。相談者によると、中学生の息子が、クラスのグループLINEで別のクラスの女の子の卒アルの個人写真を送信したそうです。

数人が既読になった後に、送信を取り消しましたが、他のクラスメイトがスクショをとっていて、そのスクショから本人と親の知るところとなり、親から「訴える」と言われているようです。

相談者は、「謝罪は当然ですが、グループLINEのメンバーにその写真を保存しているか確認して、削除依頼をしました」といった対応をしており、相手の親には「写真が世に出たら善処します」と伝える予定だそうです。

できる限りの対応はされているように思えますが、実際にこのようなケースで法的な責任は生じるのでしょうか。

中学生の息子が、クラスのグループLINEに別クラスの女の子の卒アル写真を投稿し、女の子の親から「今後の対応次第では訴訟を起こす」と言われているーー。そうした相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

中学生ともなると、子どもがスマホで何をやっているのか親が把握するのは非常に難しくなります。相談者によると、中学生の息子が、クラスのグループLINEで別のクラスの女の子の卒アルの個人写真を送信したそうです。

数人が既読になった後に、送信を取り消しましたが、他のクラスメイトがスクショをとっていて、そのスクショから本人と親の知るところとなり、親から「訴える」と言われているようです。

相談者は、「謝罪は当然ですが、グループLINEのメンバーにその写真を保存しているか確認して、削除依頼をしました」といった対応をしており、相手の親には「写真が世に出たら善処します」と伝える予定だそうです。

できる限りの対応はされているように思えますが、実際にこのようなケースで法的な責任は生じるのでしょうか。

●個人写真の送信は肖像権・プライバシー権の侵害となる可能性がある

このケースでは、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求の訴訟を起こされる可能性があります。

法律上、私たちは誰でも「みだりに自分の顔を撮影されたり、公表されたりしない権利」を持っています。これを肖像権(人格権の一種)といいます。また、私生活上の事実をみだりに公開されないプライバシー権も保護されています。

今回のケースのように、卒業アルバムの個人写真を切り出して、本人の許可なくグループLINE(複数人が閲覧できる状態)に送信した行為は、肖像権やプライバシー権を侵害していると判断される可能性が高いといえます。

特に、その画像がスクショされてある程度拡散してしまっていることから、本人が強いショックを受けていると考えられ、被害者側は相談者の息子さんにかなり悪い印象を持っているでしょう。話し合いは難航するかもしれません。

●未成年の子どもが起こした問題、親が責任を負う場合がある

息子さんが中学生の場合、年齢によっては「責任能力」がないと判断されることがあります。責任能力とは、自分の行為の結果が法的にどうなるかを判断する能力のことです。

一般的に、12〜13歳くらいが民事上の責任能力の境目と考えられています。ただし、これは個別の事情によって判断されます。

もし責任能力がないと判断された場合、親権者である親が監督責任を問われることになります(民法714条1項)。

親は「監督義務を怠らなかった」ことを証明できない限り、被害者に対して損害賠償責任を負います。その証明は、過去の裁判例を見ると、かなり難しいのが実情です。

なお、子どもに責任能力があると判断された場合には、子ども自身が損害賠償責任(民法709条)を負いますが、親の監督義務違反と、被害者の損害との間に因果関係がある場合には、親自身も709条にもとづいて損害賠償責任を負う可能性があります。(最高裁昭和49年3月22日判決など)

●拡散防止措置の強制はできるのか

被害者側が「今後の対応次第では訴訟」と言っているのは、主に拡散防止のための適切な対応を求めているものと考えられます。

ただし、加害者側に法律上明確な「拡散防止義務」が定められているわけではありませんから、強制的にこのような措置をとらされるわけではありません。

それでも、被害の拡大を防ぐために誠実に対応することは、紛争を解決し、損害を軽減するための重要な要素として評価されると考えられます。

具体的には、謝罪や削除依頼は、万が一損害賠償請求をされ、訴訟になった際にも損害賠償額を減額する方向で考慮される可能性があります。

●現実的な対応は

ネットで送信された画像について、完璧に拡散を防止するための措置はないといえます。

たとえば、グループLINEのメンバーから現時点でどの程度の拡散がされているのかを完全に把握することは事実上不可能でしょう。

加害者側としては、最大限の努力と誠意をもってメンバーに削除を依頼し、その結果を被害者側に報告することが、訴訟リスクを避けるための重要なポイントになります。完全に拡散を止めることは難しくても、「できる限りのことをした」という姿勢を示すことが大切です。

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